法人営業ならではの難しさ 意思決定プロセスの違い

金融個人営業を約4年経験した後に人材法人営業に転職し、約1年半の月日が経過しました。

「個人営業と法人営業は別物だろう」と転職前から考えてはいましたが、転職後、その考えは確信へと変わりました。同じ営業職ですので、成果を上げる際に求められる共通したスキルも、もちろんあるのですが、違っている部分も多く、尚且つ違っている部分の方が成果を上げるために重要なスキルなのです。「個人営業で活躍できる🟰法人営業で活躍できる」とは限りませんし、その逆も然りです。

そこで、「個人と法人営業の違い」ということで、今回は「購入時の意思決定プロセスの違い」についてお伝えします。また、この違いから生じる業務遂行上のプロセスの違いや、営業担当者に求められるスキルについても記載します。

補足ですが、ここでいう法人企業は、大企業向けの営業であるという前提です。

購入時の意思決定プロセスの違い→求められるスキルは顧客マネジメント力!?

個人に何か商品を販売する場合、高単価な買い物であっても、意識決定者は1人、ないし多くても4〜5人程度ではないでしょうか?

個人で高単価の買い物と言えば、例えばマイホームの購入。父親の決断だけで購入が決まるかもしれませんが、「妻に相談します」「子供にも相談します」と言うこともありますし、逆に言うと、それくらいの話で収まる場合が大半ではないでしょうか?

個人営業は、目の前の意識決定者に直接アプローチしていく中で、購入の判断をする際の軸を抑えていき、販売していくような営業活動になります。

一方で、法人営業の、特に高単価な契約となりますと、意識決定に関わる方が10人以上いてもおかしくありません。何か商品・サービスを購入いただく際には、会社のお金で高価な買い物をするわけなので、当然、会社として投資をする価値があるのかと慎重にジャッジする必要があり、そのジャッジを稟議書を回覧していくことで行うのが一般的となります。

もう少し具体的に想像してみましょう。

例えば、普段商談で出てくる方が社会人6年目の役職なしの方(仮にAさん)だとします。商談は盛り上がり、購入の意思表明をAさんがしてくれたとします。その次にAさんがすべきことは、基本的には直属の上司(仮にBさん)の承認を取ることです。承認の取り方は、営業マンが直接セールスをする方法もあれば、AさんがBさんにセールスするということもあるでしょう。その次はBさんがさらに直属の上司(仮にCさん)に説明し、その後、Cさんが会社の承認会議で当該商品の魅力をプレゼンし、経営層の承認を取り、ようやく購入と、そんな流れになります。

以上のように、法人営業では商品購入の承認までの先は長く、関係者も多くなり、尚且つ、営業担当者の介在していないところで、代理で目の前の担当者例で言うとAさん)に社内でセールスをしてもらう必要も多々あるのです。

そのため、法人営業で求められる力は、一言で言うと「顧客マネジメント力」と言えそうです。(造語です)

顧客マネジメント力とは?

顧客マネジメント力を具体的に言語化すると、2つの能力に分解できると私は考えております。

①先方担当者をモチベートする力②先方担当者の商品説明力を担保する力です。先の例になぞらえて説明しますと、

①Aさんのモチベーションマネジメント

とにかくAさんが味方でなければ何もできません。そうした時に、Aさんにとって商品を購入する意味はなんでしょうか。普通のサラリーマンであれは、商品を購入することで、その後の手続きや上司への説明義務などで、自分の業務が増えるのは嫌ですよね。ですが商品を購入することで「業務が改善されて定時退社が可能となった」「商品導入の旗振りが評価されボーナスが上がった」などあれば、どうでしょうか?協力してくれるかもしれませんよね。

もう1つ重要なポイントしては、会社で商品・サービスを導入する意義とAさんが旗振りをする意義の共通項がないといけないことです。Aさん、Bさん、Cさんの普段の業務を妨害・否定してしまう提案の場合、誰でも否認したくなりますよね。この意識が重要です。

②Aさんの説明力担保

商品性を事細かに説明できるように教育しようとするのはナンセンスです。商品を購入することで、お客様の社内で起きている負が、どのように改善されるのかを説明できるように働きかけましょう。

皆様が先ほどの例のBさん(上司)の立場として、部下のAさんから商品紹介をされた時、いずれの方が興味を持つでしょうか?

パターン①:「この商品には他社にはない〜という機能があって、今のものより〜という点で優れていて、便利らしいです!」

パターン②:「この商品の導入により業務の生産性が1.5倍、良くなるようです。理由は〜の時間が大幅に短縮されるからです。」

パターン②の方が導入したリターンが明確で、話を聞いてみたくなりますよね。パターン①のように、商品のスペックの話だけをされても、「それで?結局どうなんの?」で終わります。

まとめ

個人と法人営業の違いとして「購入時の意思決定プロセスの違い」のご紹介をさせていただきました。勝手にシリーズ化していこうかなと思ったり、思わなかったり。ありがとうございました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました